5時に近づくと、何か凄い緊張してる私がいました。
その日のアポイントは、Kさん(30代。♂)という患者さんの歯磨き指導…。
実は私、この患者さんが凄い苦手。というのも、初診に近い時に歯磨き指導をした時、何となく身構えてるような印象を受けたのです。話を受け入れられないような、そんなぴりぴり感。
しかも、最後に
歯周病の兆しがあるので心配で…」
「あなたに心配して貰う必要ないですから!」
と止めを刺されていたのです。その時はショックが大きすぎて、暫くは意図的にKさんに近づかないようにしてたかも。
院長もうすうす感じてはいたようで、定期健診は普段は私の担当なのですが、院長が担当した事も何度かありました。

でも。

冷静になってみると、私のKさんに対する話し方は、「押し付け」になってたのではないか?
言いたい事だけ言って、「教えてやってるんだ」と傲慢な態度になってたのではないか?
もしだとしたら、単なる「ありがた迷惑」で、「うるさいなぁ」としか思われないのでは?
自己中心な気のある私が、もしこんな話され方をしたら、…まともには聞かないかもしれないなぁ…。

実は数日前から、憂鬱になってる私がいたのです。
でも歯磨き指導は完全に私の担当。
もう逃げる事は出来ないのです。
今度は、私が身構える番なのです。
といっても、自己弁護には回らない、きちんとKさんの話も聞こう、と。

決してKさんは治療に対して投げやりではなく、治療に対して真剣で、色々知識も仕入れてくる人。院長やスタッフに時折投げかける質問も、思わずこっちが「……」と一瞬言葉に詰まってしまうほど、鋭い質問が多いのです。それがまた、スタッフに「怖い人」という印象を持たせるのかもしれません。

もしかしたら表情にも緊張がにじみ出ていたかもしれない私の前には、腕組みをして、やっぱり近寄りがたい感じのKさんがいました。
まず、染め出し液(歯垢プラークが見える液)を塗った歯を見て貰って、歯周病の検査の結果と見比べながら話します。そこでもKさんの鋭い質問がありました。院長が間に入ってくるかな…とも思ったのですが、他の患者さんに集中してるらしく、全くのノータッチ。怯みかけた質問もありました。でも、Kさんに同意しながら、私も言うべき事は言う、というのは、自己満足かも知れないけど、出来ていたと思います。…多分(苦笑)。
今度からはKさんとも対等に接せられそうです。

ただ、自分でもありえないくらい緊張してたらしく、ゴム手袋をはめた手が汗でびっしょりでした。
スタッフのNちゃんも、
「何か戦ってたみたいだよねー」
……かもなぁ。


↑とは別に、私がKさんを苦手とする理由がもう一つありました。それは、初診の時、思いっきり名前を読み違えちゃったんですよね…。名前を呼んだ時睨まれたような気がしたのを思い出しました。
だってさぁ…Kさんが問診表の自分の苗字を「へん」と「つくり」を離して書いてたから、1文字が2文字に見えたんだもん…。