痛みの記憶

初診の小1の女の子Kちゃん。お母さんが歯並びを心配しての来院。
虫歯自体は無かったのですが、乳歯の段階ですでに歯並びがぎちぎちなのと、生えてくるはずの永久歯がまだ見えない、ということで、レントゲン写真を撮ってみることに。
あと、虫歯は無いので、予防処置でいいだろうとシーラント*1をすることにしました。
ところが。
見慣れない器具の羅列に怯えたのか、器具を持つたびに肩が震える。口の中を見ようとするだけで、鼻を鳴らして泣く体制に入る……。
「怖いの?」
「うん」
「前に何か痛い目にあったの?」
「…じびかのせんせいが耳そうじをしたのがいたかった」
どうしても医者で痛い思いをした、という記憶が邪魔をしてるらしいです。
「…でもまだ何にもしてないよ?」
「………」
「もしさ、痛かったら泣いていいよ」
「………」
「まずやってみようよ」
「………(小さくうなづく)」
最初は怖さで体をびくつかせてた彼女ですが、鏡を見せながら、いまはどんなことをしてるのか見てもらってから、いつの間にか普通に戻っていました。「痛くはないよ」ということが判ったらしいです。私も思わずホッと息をつきました。
「今度は歯ブラシもって来ようね」
「……うん」
こういうときの子供ってホント可愛いよね。





余談。

レントゲン写真を撮る時、一瞬体を動かしたので思わず大きな声で
「動かないで!」
といってしまった私。スタッフMちゃんに、
「これで"怖いお姉さん"ってインプットされたよ」
と言われました。でも仕方なかったやん…取り直しなんてヤダしさ。

*1:虫歯になってない歯のかみ合わせの溝に少し薬を流し込んで固めること。歯を削らなくてもいい